映画日誌 ベストテン 日誌

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 2004年 ベストテン 
第1位 悪い男(韓国/キム・キドク/チョ・ジェヒョン)
第2位 父、帰る(ロシア/アンドレイ・ズギャギンツェフ/コンスタンチン・ラヴロネンコ)
第3位 こんばんは(日本/森康行/見城和慶)
第4位 ヴァン・ヘルシング(アメリカ/スティーヴン・ソマーズ/ヒュー・ジャックマン)
第5位 バレット・モンク(アメリカ/ポール・ハンター/チョウ・ユンファ)
第6位 マッハ!!!!!!!!(タイ/ブラッチャー・ピンゲーオ/トニー・ジャー)
第7位 清河への道(日本/澄田憲親/新井英一)
第8位 THE SONW WALKER(カナダ/監督不明/バリー・ペッパー)
第9位 アイ,ロボット(アメリカ/アレックス・プロヤス/ウィル・スミス)
第10位 東京原発(日本/山川元/役所広司)
  (凡例 順位 題名 製作国 監督 主演)


 例年に劣らず、優れた映画が数多く公開されたものの、みずからの行動がそれに追いつかず、関心を抱きつつも、見逃さざるを得なかった映画が増えていることは、自分に対して遺憾極まりないものがある。
映画館で接した本数が、200本を切るという状況が2年続いてしまったことは、深く自戒しなければならず、来年への課題として意識し続けなければならないが、それでもこうして10本くらいは容易に選出され、なおかつ多くの映画が欠落してしまっていることに、映画製作の現状が顕れているような気がする。

1位の『悪い男』は、昨年の『パイラン』同様、韓国映画の偉大なる力を見せつけてくれた。主題は『パイラン』に近いが、そこにガラスと鏡の要素を取り入れ、さらには、開かれた方向性を投げかけた点においては、『パイラン』を上回ってもいる。

2位の『父、帰る』を「水の映画」と言ってしまえば、短絡的と思われるかもしれないが、現代において、映画が水といかに関わるか、という困難に挑戦し、それを映像化したことで、映画の最先端を征(ゆ)く結果が生まれた。『父、帰る』において、水に包まれることは、幸福につながる表現であり、『悪い男』でもそれが視覚化されている点は、興味深い共通点である。

私は、映画を見て人生を思うことは極めて少ないのだが、『こんばんは』と『バレット・モンク』は、人生を反省し、もう一度、消えかけた夢に挑戦を抱かせるに余りある力を持った、映画史を通じて稀有な映画であった。

『ヴァン・ヘルシング』と『アイ,ロボット』は、徹底した上下の表現を追求し、それらとは対照的に、『清河への道』と『THE SONW WALKER』が、広大な土地をひたすら移動し続けることによって、映画の豊かな空間把握術を満喫させてくれるなど、映画が、新たな可能性を切り拓き続けていることを実感させられた。

 

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